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「できない」を楽しむ

(2021/09/12)

2021年9月12日(土)8:55, 16:00改

時間を作りながら、毎日少しずつ、信州支部総会の準備を進めています。Facebook時代は外からは見えなかった部分だと思いますが、途中経過を現在進行形でお知らせすることは、準備する側にとっても、参加する側にとっても気持ちを高めていく面から価値あることだと考えています。

私ごとで恐縮ですが、5,6年前から、岡谷市の商業活性化のお手伝いをさせていただいています。その中で、神奈川県の厚木市に視察に同行させていただいたことがあります。厚木市の職員の方によりますと、イベントはその日限りの集客(あるいは売上)を目指すのではなく、メインの日を含めたその前の一週間もイベント期間と位置付け、そこでの集客(あるいは売上)を含めて戦略を立てるのが重要だとお話しされていました。もしかしたら、そういう経験や言葉を通して、信州支部総会を前に、いろいろな人に関心をお持ちいただきたいと無意識のうちに考えているのかもしれません。点で考えず、線で考える考え方は、どこか通じるものがありそうです。

ところで、

よく、「できる人はいいですよね」「自分もできるなら、そういうことをしいていますよ」というお言葉を聞いたり言われたりします。もしもピアノが弾けたなら・・・の世界観でしょうか(古い?)。いやいやいや、私なんて本当に何もできません。できないからこその視点で(ダメモト視点?)、誰でも努力すればできるようになりそうなレベルか、それよりもちょっと上のレベルを目指して努力しているに過ぎません。もし、私に人より少し優れたところがあるとしたら、できないことを楽しめることかと思います。でも、これは私だけではないと思います。

学生時代のことです(神楽坂です)。ある時、自作パソコン作りを楽しみたいと思い(そんな時代でした)、秋葉原で部品を購入し早速制作に取り掛かったところ、全然うまくいきませんでした。雑誌を片手にいろいろ試してもダメでした。あとで思うと「部品同士の相性」というものの問題でした。そんなわけで雑誌批判をしていたのですが、そんな私を見ていた先輩が「自作パソコン作りを楽しめる人は、思い通りに動かない時こそワクワクするものだ」と言われました。それ以来でしょうか、できないことにぶつかると、どうもワクワクするようになりました。「思い通りにいかない時こそワクワクする」は、私のその後の人生において、とても大事な言葉になりました。ひょっとすると、子供のころからそういうポテンシャルはあったのかもしれません。もちろん、できないと悔しいですけどね。

「概念化(言語化)することで武器になる」とは、明治大学の齋藤孝先生の言葉です。先輩からのその一言で、言語化され、その後に武器になった典型的な例ではないかと思います。そういう意味では、人に恵まれているのかもしれません。

品質管理におけるQC7道具を初めて知った時、こんな当たり前なことをどうしてわざわざ書き下すのだろうと思いました。でも、すぐに気づきました。言語化することで、いつでも使える武器(まさにツール、道具)にするのです。自分の行動の点検にも役立ちます。

最近は、よく「コビーの7つの習慣」の話をしています。あれは、新たな気づきを含めた言語化です(最近は8つかな)。私自身は、理学部数学科出身ですが、経営学・経営科学を経由して、今は数理的なアプローチからの意思決定論を研究しています。できるだけ実務で役立つということを意識していますが、そこでも言語化が役立つことがわかっています。いわゆる「枠組み」(フレームワーク)ですね。

ということで、今も、先輩の言葉を思い出しながら、できないを楽しみながら準備を進めています。

信州支部総会の案内状も、すでにできた経験があるから着手したのではなく、こんなことができたらいいなと先に夢を描き、それを実現する過程での「できない」を楽しみながら、最終的に「そこそこできた」で満足している次第です。だから、その道の専門家からすると、やりかたが全然違うかもしれません。もしお気づきの点があれば、ご指摘いただけると有難いです。これも「できない」を楽しむの一部だと考えています。できれば手伝っていただけると嬉しいです。

現在は、YouTubeライブでの配信の準備をしています。どうも、信州支部総会では直接的な使い道はなさそうであることがわかってきましたが、一度始めたので、なんとかできるまでにしたいと考えています。ちなみに、ネットで調べたところお勧めなのが OBS Stadioをとあったので、それを使っています。この流れの中で、Zoom も直接Youtube ライブで配信できることもわかりました。早速、理窓会本部からお借りしているZoom を使ってやってみたら、非公開の設定で実施しましたが、スムーズにできました。「限定配信」か「非公開」にするか、などもいろいろ調べながら学んでいきました。

実は、初めにやりたかったことは、Zoom でタイマーを設定することでした。格好よく、スマートにです!

何週間か前に「機械学習と最適化理論」のシンポジウムにZoomで参加した時、ファシリテーターが上手にタイマーを使っていました。もちろん、開催者に問い合わせればいいのでしょうが、なんとなく気が引ける部分もあり、自分でやってみることにしました。ちなみに、まだ全然できていません。もしかしたら、支部総会までにできるようになっていないかもしれません。その後も、できないままかもしれません。でも、この努力がまた新しい発見やモチベーションにつながるのです。YouTubeライブも、この流れから挑戦しはじめたものです。

しばしば、「理科大らしさ」というものを考えることがあります。その答えの一つが「できなことを楽しむ力」なのではないかと思います。それができるからこその、新しいものへのチャレンジ精神が生まれるのだと思います。今の学生は、「できる」だけを楽しんでいます。できないと、外に向けて不満を持つようです。教え方がよくない、とか。教わったことは忘れます。一度忘れると、取り戻せません。でも、できないを楽しみながら身につけたものは、そもそも忘れにくいですし、忘れたとしてもすぐに思い出すことができます。それこそが、人生を豊かにするのではないでしょうか。

思えば、上で紹介した先輩の言葉以外にも、東京理科大学の学生時代に、先輩や先生方から私のその後の人生に影響を与える「至宝の言葉」をいくつももらいました。

そんなことを思いながら、信州支部で、人生を豊かにするためのコミュニティづくりをしたいと考えています。いろいろな人が、できないことを楽しんでいること(もちろん、それができるようになったことも含めて)を共有できる場があると素敵ではないですか。コロナ禍にあり、大変な思いをされている人がたくさんいらっしゃると思います。そんなことを楽しめないよ、という声も聞こえてきそうです。でも、そんなときだからこそ、そういう「できない」や「困っていること」を共有し、頑張る原動力にしていこうとすることが大事だと考えます。その中で、思いもつかなかったような良いアイディアを得たり、仲間や協力者が見つかったとしたら、これ以上うれしいことはありません。そして、それこそが「東京理科大学の卒業生だからこそできること」なのだと思います。

これからも、信州支部から新たな知見や場を提供できるよう、「理科大卒らしさ」について考え続けていきたいと思います。

最後に、「YouTubeライブができるようになりたいと思って努力しております」と一言で終わることを、またまた長く書いてしまいしました。最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。ぜひ、同志の方からのお声がけをお待ちしています。信州支部という共創の場で、一緒になにかを始めましょう!

飯田@信州支部長