理窓 2017年1月号
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517・1 理窓ん。そのためには先ず日本人としてのアイデンティティを持つことが必要です。日本の伝統や文化、歴史を身に付けたうえで、異文化や多民族の中で協同できるコミュニケーション能力を高めていくことが重要なのです。英語の習得は異文化とのコミュニケーションのツールであり目的ではありません。ともすれば、英語能力の向上がすなわち国際化やグローバル化とされがちですが、日本人としての知識や所作、教養をないがしろにせず、様々な場面において「凛」とした姿勢で応えられるように研鑽を積むことが何よりも大切なのです。 勿論、英語教育に力を入れることも忘れてはなりません。ツールとしての英語という意味では、TOEIC-IPを全学生に受検させ、卒業までにそのスコアを伸ばしていくよう指導します。また、「世界で活躍できる人材」という観点では、本学の強みはなんと言っても研究力ですから、院生が国際会議でどんどん発表するような環境づくりに努めます。 さて、昨年の卒業後の進路に関しては、多くの卒業生が大企業に採用されるとともに、極めて高い進路決定率を達成しました。卒業生3,000人以上の大規模大学の就職ランキングにおいて、本学は昨年に引き続き1位の評価を得ることができました。また、国家公務員総合職試験では全国で12位、理工系区分においては私立大学で1位という好成績を残しています。本学の特色である研究については、教育進学総合研究所(運営:大学通信)が全国の進学校である高校2,000校の進路指導の教諭にアンケート調査をした結果、「研究力が高いランキング」で私立大学1位の評価を得ることができました。 この様に、これからも本学が素晴らしい成果を挙げ、健全経営を堅持し続けていくためには安定した入学者数の確保が課題となります。今後18歳人口が減少していく状況において、これからも優秀な学生を確保していくには本学の一層の価値向上を継続的に行っていく必要があります。教育研究の質を更に高めていくため、教育に関しては「実力主義」の教育方針に基づき、教育開発センターなどを介してFD活動や教育施策の企画等により教員資質の向上および学生支援に努めていきます。 そして、今年は記念すべき野田キャンパス設立50周年を迎えます。1967年に野田キャンパスに理工学部を設置して以来、1987年に基礎工学部、1989年に生命科学研究所、2003年に薬学部、そして2011年に総合研究機構を設置し、緑豊かなロケーションを活かして「リサーチパーク型キャンパス」として発展してきました。50年前に建設された1号館は今も変わらず活躍しています。 ハードだけでなくソフトの教育・研究においても、野田キャンパスではこれまでに築いた伝統を礎に様々な取り組みを進めてきました。そして、平成29年度より理工学部・研究科では学部1年から3年までの3年間と学部4年から大学院修士課程の3年を一貫して教育する「6年一貫教育コース」を順次導入していきます。学部の3年間は基礎力を養い、卒業研究と修士研究の後3年間は最先端の研究を通じた教育により問題発見力と問題解決力を養います。これにより、視野の広い柔軟な対応ができる人材を育成していきます。 さらに、理工学研究科では、平成29年度より大学院生が所属する専攻の枠を超えて専攻を跨いだ幅広い分野から参加可能な「横断型コース」も開設します。専門分野にとらわれず、幅広い知識やスキルを身につけることのできる画期的なコースであり、多様化、グローバル化した将来の社会において十分に活躍できる経験やスキルを身につけることが期待されます。 大学を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、ますます厳しい時代を迎えますが、これからも世界で最も魅力ある大学になるべく、受験生や社会から選ばれる存在になるよう努めていきますので、今後ともご理解とご支援を賜りますよう宜しくお願いします。 末筆ながら皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。

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