理窓 2017年1月号
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関連団体通信関連団体通信26理窓知的財産クラブ会長 産形 和央 皆さんの所属する企業がもっている情報には、財務会計情報、人事情報、賃金情報、事業計画、製品開発、特許出願情報、研究データ、研究失敗データ、製造ノウハウ、社内情報システム、顧客情報、デザインデータ、研究発表資料、技術提携契約などいろいろなものがあります。これらのうち特許権、著作権などの知的所有権で保護されるものもありますが、それ以外のものは外部に公表されず企業内あるいは企業間で秘密として取り扱われます。これらの情報のうち、日本では、生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上、営業上の情報のうち、秘密として管理され、公然として知られていない情報が不正競争防止法で「営業秘密」の名のもとに保護されます。営業秘密というと営業上の秘密情報と誤解されやすいのですが、企業がもつ『財産的情報proprietary information』という意味です。技術系の人は、技術的情報を中心に理解したほうがよさそうです。この保護は、WTOのTrips協定を批准する際に、保護が義務付けられた『開示されていない情報の保護』をどのような表現で法律化するかという場面で、『財産的情報』という用語で議論してきたのです。この用語では法律上規定するにはあまりにも1つの概念として未熟であり、一般的にも定着していないことなどから『営業秘密』という用語を用いています。 ところで、米国では、憲法で発明や著作物を保護するとなっているので、連邦法として特許法、著作権法がありますが、憲法上秘密保護法は対象外と解されますから、モデル法を参考に各州ごとに営業秘密を不法行為法の中で保護し(州ごとに保護内容が異なる)、企業の私的営業秘密の侵害を民事的に解決する場合は各州ごとに訴訟を提起します。一方で、連邦経済スパイ法が制定されていて刑事責任を追及できました。この連邦法が民事事件も対象とする営業秘密保護法DTSAとして2016年5月に生まれ変わりました。ただ州間にまたがるとか外国が絡むとかいう制限はあります。この新法では営業秘密の定義がものすごく広く注意を要します。会長 宮川 公治【能楽鑑賞会を開催しました】 10月21日(金)に能楽鑑賞会を開催しました。会員の安永達幸氏を講師に初心者のための説明会をした後、千駄ヶ谷にある国立能楽堂にて能・狂言を鑑賞しました。古典芸能を学べるとても有意義な時間になりました。【第37回定時総会を開催しました】11月26日(土)、PORTA神楽坂にて第37回定時総会を開催しました。理事に浅子弘美氏と岡本麻代氏が就任しました。決議事項は原案どおり承認可決されました。経営学部の牧野恵美准教授の研修会も大好評でした。理窓ビジネス同友会WEBサイトhttp://kigyou.risou.net/理窓ビジネス同友会

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