理窓 2017年1月号
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17・1 理窓11 以下の内容で時々笑いを誘いながら、お話くださいました。 『「勤勉さ」≒「努力主義」で知性が伸びる』・『「悔しさ」もだいじ』・『4歳児マシュマロ実験の顛末』・『12年後(16歳)』・『40年後(44歳)』・『がまん課題(GO/NOGO課題)』・『忘れる課題(欲望をやりすごす力)』・『運動、脳トレ、健康的な食事、健康管理は大事』・『知能以上に勤勉さと開放性が成績を予測する』 まず、子どものほめ方ついて、実験によると「賢さをほめるのか」または「努力をほめるのか」によって、その後の成長に大きな違いが出てくるお話でした。「4歳児マシュマロ実験の顛末」では、4歳児の前に 成熟とは何か、あるいは成熟した社会とはどういう社会か。 ある意味では、私の考えるところ、この問題を一番に考えたのは夏目漱石。人間が成熟するとはどういうことなのかを、今から100年前、その時代、日本は文明開化をしてこれから進んで行こうという時代、その手本はイギリスであった。漱石は憧れの街、ロンドンに行ってみた。ところが大変な状況であった。化石燃料による粉塵が空中に舞い上がり、もうスモッグだらけ。このロンドンを見て、自分たちが目指す社会はあの社会なのか。彼はある種の違和感を持った。 先の熊本地震をはじめ、日本は地震や自然災害にたびたび見舞われている。でも、最近の被害はかつてに比べて桁違いに大きくなっている。それマシュマロを置いておき、どれだけ食べる時間をがまんできるかの事例で、12年後、40年後まで追跡調査を行っています。その結果は、4歳児のがまんはその後の行動(GO/NOGO課題でのキレやすさに関わる。)や学力に影響があったというお話でした。続いて、脳のトレーニング体験「ワーキングメモリー」に進みました。ワーキングメモリーは知的活動の中核になるもので簡単に鍛えることができる。また、知能と自己評価(性格)との関連ついては、勤勉性(誠実性)が高く、経験性の開放性(好奇心)が強い学生の方が知能の高い学生より、学校での成績はよくなった。理科大的勤勉性(誠実さと自制心)、そして好奇心が、脳を鍛えるということでした。最後に、運動、脳トレ、食事など健康管理が脳の力を伸ばすというお話で、ご講演を締めくくられました。は何故か。 1973年オイルショック。このときに世界のベストセラーになった、シューマッハの「スモール イズ ビューティフル」という本。この中で彼は「中規模技術、適正規模のテクノロジー」と言っている。巨大なものでなく、スピーディーでもなく、その地域や都市の風土や歴史、自然現象に適合した、そういう街づくりが行われれば、私はいつの間にか、今の自然災害にも耐えられると思う。 その意味で、ここ理科大葛飾キャンパスは、壁がなく、敷居がなく、周囲の人と一緒になっている。この形を私の理想としている。 最後に、私の成熟しているというイメージが漱石の「門」という小説に表れているということを申し上げてこの話を終えたいと思う。篠原菊紀教授 記念講演講演テーマ「理科大的勤勉さと自制心が脳を鍛える」姜尚中特命教授姜尚中特命教授  記念講演記念講演講演テーマ「成熟社会の生き方」時間 13:30~14:30時間 13:30~14:30時間 10:30~11:30時間 10:30~11:30

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