理窓 2016年10月号
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34GSCコーディネータ 春山 修身(49理・物)1.全国大学での実施状況1.全国大学での実施状況 日本科学技術振興機構(JST)からの委託教育プログラム、グローバルサイエンスキャンパス(GSC)を開始して今年で3年目に入った(4年間継続)。現在、全国15大学(北海道、東北、筑波、宇都宮、埼玉、東京理科、慶応、福井、名古屋、金沢、京都、大阪、岡山、広島、九州)で展開されているこのプログラムは、いままで行われてきたSSH(スーパー サイエンス ハイスクール)や次世代科学者育成プログラムなどと異なり、高校生を大学に派遣して最長2年間の理系教育・研究を行うプログラムであり、ユニークな高大連携といえる。その目的は、将来、理系分野でグローバルに活躍する人材を育成すると同時に、能力・意欲の高い高校生には大学内の研究機器を使用させ、また大学教員の指導のもとに独自課題についての研究を行って、その成果を積極的に国内外の学会で発表する、あるいは欧文誌を含む専門誌への論文執筆を促すことにある。特に目的意識と基礎的能力が高いと思われる極少数者に対しては、初年度から研究を開始するプログラムを実施している大学もある。また、2年目は海外の大学・研究機関への短期研修が義務づけられているのも特徴の一つである。募集の範囲は地域に限定している場合と、全国展開を行っている大学とがあるが、本学では1都3県(埼玉、神奈川、千葉)で受講生を募集している。2.東京理科大学のGSCプログラム2.東京理科大学のGSCプログラム(ア)プログラムの特徴 本学GSCの特徴は次の通りである。①東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、川崎市の各教育委員会、横浜科学アカデミーとでプログラムを実施するためのコンソーシアムを構築している。②1年目(基礎コース):約60名を選抜し、毎月2回ほど大学での授業を年53コマ(1コマ70分、10月までを入門編として全員が33コマを、11月~2月までを応用編として希望分野に分かれて数学、情報、化学、生物、物理の授業を20コマ)行う。③2年目(発展コース):基礎コースの中から意欲・能力の高い受講生を最大20名選別して希望の研究室で研究を行う。海外研修(発展コース生の中から10名を選抜)では、ドイツのキール大学構内にあるドイツ教育研究所でドイツの高校生と協同実験を行う。(イ)実施状況 次に、プログラムの実施状況について概括する。表1に、第1期基礎コース生(H26秋募集。応募143名。合格119名。)、第2期基礎コース生(H27春募集。応募94名。合格62名。)、第3期基礎コース生(H28春募集。応募109名。合格63名。)の公私立高校別、男女別、学年別比率を示す。併せて、選抜時に実施したTOEIC-IP試験の結果を示す。表1 基礎コース生全体に占める私立高校生の割合など。H26H27H28私立高の割合446157女子の割合334560高2生の割合352921TOEIC平均点380386504(単位は%) 本学GSCでは教育期間中の英語能力の伸張度を見るために、選抜時と修了時(翌年3月)にTOEIC-IPの試験を実施している。H28年度は女子の割合が男子を越えたことと、TOEICの平均点が著しく伸長した(500点を越えた)ことが特徴である。本プログラムの目的の一つは、受講生の国際性の向上を図ることなので英語能力が高いことは非常に喜ばしいことである。 H26年度の1期基礎コースは秋募集であったので、本来実施するはずの応用編コースを省略した。したがって、H27年度から正規に応用編を実施し、今年度は2回目となる。表2に、応用編各分野の志望者数を示す。─3年目に入って─3年目に入ってグローバルサイエンスキャンパスプログラム報告グローバルサイエンスキャンパスプログラム報告

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