理窓 2016年10月号
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32にむけ寝る間も惜しんでこの計画を進めました。にむけ寝る間も惜しんでこの計画を進めました。 本番当日、深夜から機体の組立など旋回飛行の準備を行っている最中、今までにない緊張が身体を走っていました。人力飛行機業界において陸地での旋回は過去にあまり例がなく、成功できるかどうか不安でした。私の心境とは裏腹に夜空に星が光り輝き、とても綺麗だったのが印象的でした。 夜が明けて朝方フライト本番、風も微風、ベストコンディション。「ペラ回します!」その言葉に部員一同緊張が走る。パイロットがプロペラを回す。プロペラの風切り音がこだまする。離陸、加速、そしてぐんぐんと浮上していく。高度は 5m 程度、旋回するには申し分ない高度。「旋回開始!」と指示が。機体が指示に応答するかのように傾き始め、両翼23mもの機体が大きくしなりながら旋回を始めた。機体性能を限界まで引き出した旋回は言葉では表せないくらい雄大で感動的でした。機体が傾きを直しつつ私の方へ向かってきた。ACM初の旋回成功。機体から降りたパイロットを祝福した。部員全員から笑顔がこぼれた。 今回は残念ながら直前に記録飛行という形で実施することが不可能になってしまい、記録飛行ではなく旋回試験として実施しました。世界記録樹立に関しては現在も調整中です。今年度の機体の骨組みを来年度の機体に使うためタイムリミットがありますが可能性がある限り挑戦したいと思います。  最後になりましたが学生課・理窓会・こうよう会の皆様など、多くの方々に支えられ、このような成果を上げることができました。この場をお借りして感謝の気持ちを述べさせていただきます。本当にありがとうございました。世界記録を目指して 2002 年4 月、Aircraft Makers(以下 ACM)は当時の理工学部機械工学科数名の有志により、人力飛行機による鳥人間コンテスト出場及び記録更新を目的として発足した学生組織です。拠点を千葉県野田市にある野田キャンパスガレージとし日夜、人力プロペラ機の機体製作に励んでいます。ACM は人力プロペラ機の中でもタイムトライアル(以下TT)機の設計、製作、運用を行っています。TT部門とは片道500mを旋回し、往復計1kmのタイムを競う部門です。TT機は完成度の高い機体、機体速度が秒速11mと高速機のため高い運用能力、また高負荷に耐えうり、優れた操縦技術を持ったパイロットが求められます。鳥人間最高峰ステージとも称されています。2014 年には鳥人間コンテストに出場し、旋回完了後に着水してしまったもののTT部門三位入賞という結果を残しました。 今年ACMは国際航空連盟(以下FAI)の規定、 今年ACMは国際航空連盟(以下FAI)の規定、ルールに則って人力飛行機部門における往復飛ルールに則って人力飛行機部門における往復飛行での距離記録の世界記録を目指すことにしま行での距離記録の世界記録を目指すことにしました。世界記録樹立となれば学生チームはもとよした。世界記録樹立となれば学生チームはもとより日本における人力飛行機団体初の快挙になりまり日本における人力飛行機団体初の快挙になります。場所を提供される大会出場とは大きく異なり、す。場所を提供される大会出場とは大きく異なり、自らで施設管理者と交渉、日本航空協会が認可し自らで施設管理者と交渉、日本航空協会が認可した記録飛行を統括、認定する公式立会人と調整をた記録飛行を統括、認定する公式立会人と調整を行うため実施まで多くの労力、費用を要します。モ行うため実施まで多くの労力、費用を要します。モノづくりだけでなく“場所づくり”も同時並行で行ノづくりだけでなく“場所づくり”も同時並行で行わなくてはなりません。FAI が定める人力飛行機わなくてはなりません。FAI が定める人力飛行機競技ルールもすべて英語でルール解釈一つとって競技ルールもすべて英語でルール解釈一つとっても膨大な時間を要します。部員一同世界記録樹立も膨大な時間を要します。部員一同世界記録樹立東京理科大学理工学部-Aircraft MakersAircraft Makers平成28年度代表 菊池 拓海平成28年度代表 菊池 拓海鳥人間鳥人間コンテストコンテストにに参加参加して〈2〉して〈2〉菊池 拓海菊池 拓海パイロットパイロット

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