理窓 2016年1月号
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516・1 理窓ことの重要性を教えていただいたのだと、今では思い返すことができます。長万部キャンパスで過ごす一年間も、このような「人間力」を醸成するのにはうってつけの環境です。先生方の情熱に負けないよう、現代の学生諸君も科学者としての倫理を持ち、自らを律する姿勢をはぐくむ場として、大学を大いに利用してもらいたいと思っています。来年度は両学部の周年を祝う多数の行事が執り行われることと思いますので、同窓の皆様にも是非足を運んでいただき、若き青春の日々を思い返すきっかけにしていただければ幸いです。 上記の中でノーベル賞のエピソードをご紹介しましたが、昨年は本学にとっても大変喜ばしい年でありました。大村智先生が、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたことは記憶に新しいかと思いますが、大村先生は東京理科大学大学院の理学研究科のご出身です。本学では大学院や総合研究院などを中心とし、学科の枠組みを越えて非常にハイレベルな研究が日夜行われていますが、「理科大の教育研究力」と呼べるものが一つの形に結実したように感じ、理事長として、そして何より一人の卒業生として大変誇らしく思います。今後も卒業生の皆様が胸をはって東京理科大学の卒業生だと言えるよう、引き続き教育研究力強化の手綱をゆるめず、走り続けていきたいと思います。 さて、大学の国際化が急務の課題として叫ばれて久しい昨今ですが、本学におきましても国際化推進センターを中心に多種多様の取り組みに着手し始めています。学生の海外留学プログラムの多様化や英語教育の拡充、教職員の国際化、国際学生寮の整備などがその一端です。また、同窓生との関係においては、海外同窓会として北加(北カリフォルニア)理窓会・上海理窓会・シンガポール理窓会に続き、昨年10月にはマレーシア理窓会が開設されました。北加理窓会との同窓生の方々とは本学が実施しているシリコンバレープログラム等において協力関係を構築するなど、大学と海外理窓会との関係性も非常に良好です。国際化は一朝一夕に進むわけではありませんが、理窓会の国際化に置いて行かれることのないよう、我々も着実に一歩ずつ前進したいと思います。  少子高齢化やグローバル化という日本が直面している課題は同時に大学業界の課題でもあります。いずれの問題においても、大学間競争にさらされている我々にとって肝要となるのは現在の閉塞感を打破するための人材育成です。学校経営の基本は教育・研究の充実ですから、それを指導する先生方には、研究者であると同時に良き教育者であることを望みます。実際私の学んだ経営工学科の先生方は自らに厳しく、しかしとても人間味があり、我々に対しては親子のように指導してくださったのが懐かしく思い出されます。我々理事会の役割は、そんな先生方を始めそれを支える教職員が働きやすい環境をつくることであると考えます。 そして同窓の皆様に望むことは、もっともっと大学に関わってほしい、ということです。あるいは若いうちは自ら主体的に大学に関わることは難しいかもしれません。ですが、今理窓会の運営や大学行事に参加していただいている方々が、皆一人ずつ仲間を連れて来ればそれだけで人数が倍になります。年代などにも偏りなく、多様な人たちのより積極的な参加を期待しています。 先ほどから申し上げておりますとおり、我々の目の前の道にはクリアしていくべき課題が山積していますが、藤嶋学長を始めとした学長室の先生方とも手を取り合いながら、引き続き前身の歩みを続けていきたいと思っています。我々理事会はサポート役であり、大学の発展は教職員、学生、そして同窓生である皆様の協力無しにはあり得ません。継続的にご支援をいただくために、我々も皆様の期待に応え、卒業生であることを誇りに思えるような大学づくりを進めてまいります。 同窓の皆様には、引き続きご指導、ご撻をお願い申し上げます。末筆ながら皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。

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