理窓 2016年1月号
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4 新年あけましておめでとうございます。 皆様におかれましては健やかに新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。こうして新しい年を無事に迎えることができるのも、偏に同窓の皆様のご支援があってのことと深く感謝しております。 さて、昨年9月より学校法人東京理科大学の理事長の命を仰せつかりました。今年で創立より135年を迎える母校にこういった形で貢献できることは、大変光栄であると同時に、その責任の重さに背筋が伸びる思いです。 1881年の創立以来、様々なチャレンジを行ってきた東京理科大学ですが、特に2000年以降は、大学院の再編や、教育・研究に関する機構の再編、葛飾キャンパスの開設など、多くの前向きな取り組みを行い、現在まで目を見張るほどの発展を持続してきました。しかしその一方、山口東京理科大学の公立化や、久喜市からのキャンパス撤退など、ある種痛みを伴う施策も同時に行ってきました。18歳人口の減少に伴い、社会、特に大学業界を取り巻く環境は、皆様もご存知の通り大きく変化してきています。そういった状況の中で、攻めの部分・守りの部分、両面の取り組みを行ってきたと言えるのではないかと思います。先人から脈々と受け継がれてきたこの歩みを止めないよう、私も引き続き努力していく所存です。 本年で135周年という節目の年を迎えた東京理科大学ですが、来年50周年を迎える理工学部、同じく30周年を迎える基礎工学部においては、2017年は特別な年となります。理工学部は1967年に野田キャンパスに誕生した学部です。私は理工学部経営工学科の1968年入学組ですので、理工学部の2期生ということになります。当時から関門科目の制度はありましたし、小テストや出席必須の講義も多く、特に一年次には大変苦労をしたのを覚えています。ただ、柔道部に所属していたため、学科の枠を越えて友人も多く、空いた時間には下宿先に友人仲間で集まり楽しむ時間も大切にできていました。社会に出て、いろんな人たちと接した経験から当時を思い返すと、理科大生は非常にまじめで論理的思考に長け、尚且つ明るい人が多かったと感じます。 そして、一方の基礎工学部が開設されたのは、理工学部の開設から20年後の1987年です。皆さんもご存じの通り、1年次を北海道の長万部町のキャンパスにおいて全寮制で過ごす、という大変ユニークな教育を行っている学部ですが、当時はものすごく先進的なこととして受け止められていたようです。学問・自然・人が一体となった環境を通して、従来の考え方にとらわれない新しい視点、そして、豊かな人間性に基づく確固たる視点を身に付けることがこのキャンパスの目的であり、その教育効果は多方面から非常に高い評価を得ています。アインシュタインが相対性理論を発表したのは26歳という若さであったということは衆知の事実ですが、ノーベル賞を受賞した学者たちの最初の着眼を含めた研究論文のほとんどは、20代後半に書かれているようです。私の研究室の指導教員であった藤代先生からは「学生諸君は研究者として、若いうちにもっと謙虚に事実を観察し、真理を追究しなければならない」と厳しく指導されたことを覚えています。科学者として事実に謙虚でいること、そして人間力を醸成する理事長挨拶理事長挨拶 理窓会の皆様へ 理窓会の皆様へ学校法人東京理科大学理事長 本山 和夫

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