理窓 2016年1月号
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32理系学生の就職先 大学時代に生物学を専攻していた私は、卒業後は大手菓子メーカーに就職。半年に渡る研修ののち菓子開発研究所に配属され、主にチョコ製品の開発と製品の工場導入業務に就きました。 当時の同級生は好景気を反映し、多くは民間企業に就職し、約3割が大学院進学。他に公務員、教職を志す人も数名いました。専門性を生かす分野では、食品の他、医薬品、化粧品といった業界が選択肢にありましたが、海外勤務の可能性や子供に夢を与えられる仕事、といった観点から会社を選びました。今からしてみるとまだまだ稚拙な選択だったかもしれませんが、当時の判断材料の中で最大限考えた末の選択でした。中小企業診断士について その後何度か転職し、その間、製造開発、貿易実務、営業、経営と多岐に渡る業務分野を経験するに至りました。その自身のキャリアの棚卸しをしようと思った時に出会ったのがこの資格でした。 この資格は「国内唯一のコンサルタント国家資格」と言えば聞こえは良いですが、「取っても食べられない資格」として時には「靴下に付いたご飯粒」と揶揄されています。これを生業(なりわい)にしようと考えたのは、中小企業が国内の事業者のうち99.7%を占めているという現実と、家業もまた中小企業であること、そしてある社長との出会いが、キッカケとなっています。中小企業へのご支援 診断士として独立開業し8年が過ぎましたが、これまで中小企業事業者の様々なテーマ課題への支援活動を行ってきました。 一例を挙げると、売上向上のための経営革新支援、大規模災害後の復興支援、事業再生支援、事業承継支援、BCP事業支援、国際化支援等です。 様々な支援案件の中での気付きは、どんな事案であっても連携して課題解決に取り組むことの大切さと「最後は人である」ということです。そのため、どんな案件であっても人とのつながりを大切にしながら、関係者がWin-Winの関係を築けるように心がけて支援を行ってきました。 そういった業務姿勢が評価されたのか、このところは民間事業者からのオファーだけでなく、東京商工会議所でのコーディネーター業務や中小企業団体中央会補助金事務局での監査・検査業務等、様々な支援機会を頂くことに繋がっています。 また大学関係者と疎遠であった自分に、理窓会をご紹介下さったのは、当校の同窓生ではない中小企業の社長でした。これから これまでは自分を理系人間というカテゴリーで捉えていたのですが、実は必ずしもそうではないという気づきもありました。 会社での経営管理、財務会計、販売、製造といった各分野では、理系文系の両方の視点が必要で、特定の1分野に留まらずに、課題の深掘りと高い創造性が求められています。またどういった業務にせよ、新しいものを吸収し新たな価値を創造していくことが必要な時代になってきています。 更に新たな出会いは新たな創造性を与えてくれます。それを想像で終わらせないようにするには、多くのネットワークや協力、協業が必要です。 グローバル化が叫ばれる昨今、企業は技術力やハード面の向上に加え、ソフト面や「こと」での視点やアプローチも重要になっています。 中小企業診断士は未来志向での創造性豊かな支援が求められており、合理的論理的な思考と時代のニーズに即した発展性のある事業継続のための支援を心がけていきたいと考えています。(MSL経営サポート研究所)ががんばるんばる同窓同窓⑤中村 稔(平4理工・応生)

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