理窓 2016年1月号
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16・1 理窓13 講演テーマは「脳を鍛えるトレーニング」で、軽妙でわかりやすい説明、時折笑いを誘うお話で、会場を埋めた聴衆を最後まで飽きさせず聞き入らせていただきました。お話の冒頭「脳は歳をとるごとによくなっていく側面がある」という前提でお話をしますという、古き理科大卒業生にとっては心強いご託宣があり、引き続き、脳トレーニングの体験「ワーキングメモリー」に進みました。 このテストは「脳にメモする⇒余計な情報を抑制する⇒何らかの作業をする」内容で、脳のメモを使うということを理解するためのテストです。この中で、テストが出来るか出来ないかのお話に 医師から宇宙飛行士になり、国際宇宙ステーションで研究を行いました。地球の低軌道を周回するため、重力は地上レベルに比べて極めて小さいです。このような微小重力環境下では対流が生じないため蝋燭の炎は丸くなります。また水などの液体は表面張力で真球になります。このような宇宙環境では、地上で不可能なことが可能になり材料科学などに応用できます。また、この重力が小さい状況での作業環境では、骨や筋肉が弱くなるなど作業者の健康も考慮しなければならないです。さらに、宇宙放射線の人体への影響、宇宙船の中の閉鎖空間でのメンタル面でのケアも必要です。微小重力で起こる現象は老化で起こる現象に似ているなど、自身が医師である経験から感じました。重力の重要さは、地球に帰還したときに紙の進み、出来ないであがくほうが脳のトレーニングになる、つまり、「出来ているときよりも、出来ていない時の方が脳は活性化します。だから間違えてもいいのです」という、間違いを楽しみながらトレーニングしましょうという、トレーニングへの心構えをご教示いただきました。 ワーキングメモリーは、日常のどこで、どういう頭の使い方のときひと踏ん張りすればよいのかを知るためのテストであるというお話でした。 また、ほめ方、特に子どものほめ方として「賢さ」をほめるか、「努力」をほめるかによってその後の成長の仕方が違ってくるというお話は、家庭内や教育現場で働く先生方にとってもよきアドバイスになったのではないでしょうか。運動、脳トレ、食事、血圧などの健康管理が脳の力を伸ばすというお話で、ご講演を締めくくられました。重さを感じることや物が地面に落ちることで再認識しました。例えば同僚の宇宙飛行士に爪切りを渡すのに無重力下と同じ要領で水平に投げたところまっすぐ飛ばずに放物線を描いて落ちたことです。 東京理科大学副学長として着任して半年、国際化と女性の活躍推進を行っています。女子学生の入学(入口)だけでなく就職先(出口)での活躍を推進していきます。また、理科大内での教員の研究を結集して宇宙で滞在のための研究を推し進めたいと考えています。宇宙教育プログラムも実施する予定です。宇宙開発での最前線で働いている人の講義やパラボリックフライトの体験も取り入れた実習も予定しています。 アメリカに行って出会った素敵な言葉は、「夢に向かってもう一歩」、「教育が夢を叶えてくれる」です。篠原菊紀教授 記念講演講演テーマ「脳を鍛えるトレーニング」向井千秋副学長向井千秋副学長  記念講演記念講演講演テーマ講演テーマ「宇宙からのメッセージ」「宇宙からのメッセージ」時間 13:40~14:30時間 13:40~14:30時間 11:10~12:00時間 11:10~12:00

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