理窓 2016年1月号
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12思えば恥ずかしきことばかり… 柴田翔が青春時代を振り返って書いた小説をパクリ「されどわれらが日々@理大」とした。東京杉並で子供時代を過ごした。靴が嫌いでいつもはだし、束縛されるのが嫌いでやりたくないことはしないという少年だった。そのような、言うことを聞かない子供には知能が低い子供が多いといわれ、知能テストを受けた。結果はさんざんで、私立の病弱な子供などが通う小学校へ入学した。母親が心配してクレペリンテストを受けに行ったことがある。コップの中に水を入れなさいという試験をよく覚えている。ずいぶんと簡単な試験で、この先生は僕を馬鹿にしていると思った。しかし、母が良く言っていた「よく考えてから行動するのよ」という言葉を思い出し、コップの中といったがコップの中とはいったいどこだろうと考えた。普通いうコップの中は、コップの外側から続いているのだからこれもコップの外側だ。やはりこれは罠だったのか、どうやったらコップそのものの内側を開けることができるのか、回したりさすったりしたら、パカッとコップが割れるのではないか。すると、先生がいつまでもコップで遊んでいてはダメ、早くやりなさいと言ったので、コップを床に投げつけ割ってみた。結局この子は癇癪持ちということになってしまった。 理科大では、志は大きかったが、成績が著しく悪く、まだ勉強が足りないと考え大学院へ進んで努力を続けることにした。応用数学科の主任教授の林健児先生に「大学院へ進みたい」と相談に行ったら、「大学院は病院ではないよ」と言われた言葉が胸に突き刺さる。発奮し、大阪大学に行こうと懸命に勉強し試験を受けた。しかし山がすべてはずれ、不合格。才能があっても、なくても数学に賭ける その後、上智大学大学院に入り数学の勉強をつづけた。光は見えねど、ここまで来たらやるっきゃない。ただ突っ走るのみ。才能があってもなくても関係ない。振り返らず数学にかける。馬鹿にしか見えないことがある。という思いで、だれもやらないことをやろうと、グラフ理論を研究することにした。理科大の恩師浜田隆資先生のもとで4色問題などに取り組んだ。誰にでもわかる数学を考える 本場で修行しようと、アメリカに行きフランク・ハラリー先生に師事し、ファクターの理論などを研究した。数学では、だれにも解けなかった問題を解くというのが大切なのだが、誰にでもわかる定理を作ろうと思うようになった。それで「数学は面白いではないか」と感じてくれればいい。最近、それが私の使命ではないかと感じている。3ヶ月ほど前に発見した秋山―塚本の定理はそんな定理である。ある図形を切り分けて他の図形に変身させるための必要十分条件は?という定理。 数学の面白さを感じてもらうための数学体験館を神楽坂に作りました。ぜひ立ち寄ってほしい。 ボールをどんな曲線に沿って転がすと最も早く転がるかといった実験をする最速降下曲線(サイクロイド)実験機などを紹介したのち、アコーデオンの演奏で講演を締めくくられた。秋山仁先生 記念講演講演テーマ「されどわれらが日々@理大」時間 15:00~15:50

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