理窓 2015年7月号
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3515・7 理窓いたものを、目の前にいる高校生達に還元していきたいと考えています。そしてその生徒達が社会に出て活躍してくれたら一番に嬉しく思います。千葉県立袖ケ浦特別支援学校教諭 石田 美紀(平26理・化) 私は大学を卒業した年の4月から、千葉県立袖ケ浦特別支援学校に勤務しています。袖ケ浦特別支援学校には肢体不自由・病弱の児童生徒が在籍し、その中でも知的障害との重複障害のある児童生徒が多数在籍しています。また、千葉リハビリテーションセンターやこども病院が隣接しており、児童生徒の転出入が多いのも特色です。 特別支援学校の教員の多くは、自分の専門教科以外の教科も担当しています。私も高等部で理科を教えながら、職業という授業の手工芸班を担当したり、他の教科の補助に入っています。また、特別支援学校には自立活動があります。私はその中で特に「できないことを、補助具を使うことでできるようにする」ということに感銘を受けました。例えば、顕微鏡の調節ねじの操作が困難な生徒に対して、接眼レンズにスマートフォンをカメラモードにして固定し、タッチパネル操作で倍率を上げて観察できるようにする、ミシンで雑巾の×印を縫う際にはミシンと自分の間にミシンと同じ高さの台を置き、その台に矢印を書いて直線に縫えるようにする、などがあります。生徒ができないことに対して少し視点を変え、ほんの一工夫加えるだけでもできるようになることはたくさんあります。それは特別支援学校のみならず、どの学校においても通用すると考えます。大人でも同じだと思います。 教員採用試験の面接で「中学校・高等学校で勤務する前に、グレーゾーンと呼ばれる子ども達への支援方法を学びたいから特別支援学校に勤務したい」と伝えました。その結果、学んだことは多いですが、自分のやりたいことができないことや違和感も多く、面接での発言を後悔することが多々あります。しかし子どもの何気ない一言や、話に込めた思いを子ども達が理解してくれたとき、子どもの成長が見えたときには前向きな気持ちになり救われます。毎日葛藤しながらも、子ども達から多くのことを学び続け、私自身も成長していきたいです。

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