理窓 2015年4月号
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4生が身に付けるべき実力は、専門分野の知識や技術だけでなく、教養が大きな比重を占めます。科学技術の世界においても、先端分野で優れた研究を行うためには教養が不可欠です。科学技術を学ぶ者にとっては、生命科学、知的財産、著作権、歴史、天文、数学についての基本的な知識など、現代を生きる科学者、技術者として不可欠な知恵を修得できるカリキュラムでなければなりません。今年度は、「生命科学」及び「科学技術と社会」を全学共通科目として開講するとともに、各キャンパスにおいて学部の特色を活かした教養科目を開講し、キャンパス単位での教養教育を推進していきます。また、あわせて大学院における教養教育の充実に向けた検討を行います。 教育方法の改善にも着手していきます。一例として、学生にもっと勉強してもらうために、全学科で1、2年次対象の基本的な数科目を選び、学期中に複数回、3、4枚の手書きのレポートを課すことを昨年度から全学部で始めました。授業で学んだことについて考察を深め、手で書くことによって知識の定着を図るためです。全て採点してフィードバックしています。学生には好評で、鍛えられることに喜びを感じているようです。 学修効果の向上と柔軟な履修計画を可能とする体制の構築を目的として、セメスター制・クオーター制の拡大を図っていきます。「世界の理科大」をめざして国際的な学術交流を活発にするために、クオーター制を導入し、学生の留学や教員の海外での研究を促進していきます。海外の研究者を招く機会も増やします。現在でも本学の学生とアジアの学生の交流は活発化してきています。さらに、グローバル志向が強い日本の高校生に対す1.はじめに 我が東京理科大学は明治14年(1881年)の創立以来134年の歴史をきざみ、世の中で大いに認められる大学として発展してきました。これも今までの卒業生の方々のお力によるものです。 大学とは真の実力を身に付けた人材を送り出す教育・研究機関であるべきとの基本方針のもと本学では、創立以来「実力主義」を標榜し、実力を身に付けた学生を世に送り出してきたことにより高い評価を受けてきました。この伝統を守り、今後も以下に示すような行動をしていきます。2.理工系教育のモデルの構築 科学・技術に関連する分野において、世界で通用するプロフェッショナルとなりうる基礎的能力を持つ人財を育成するため、グローバル化に対応した教育への変革を図るとともに、教育の次世代化を推進し、理工系教育の革新モデルを構築していきます。 具体的には、TUSオリジナル教科書「理工系の基礎シリーズ」の作成をしていきます。昨年よりTUSオリジナル教科書「理工系の基礎シリーズ」の作成に着手しました。「機械工学」の完成を皮切りに、本学の各分野における教科書をシリーズとして順次、刊行を進めていきます。「機械工学」に次いで、化学系、電気系、生命系、建築系と編集作業が進んでいます。これらの教科書は、主に1、2年の基礎教育に活用し、学生の基礎学力の習得に役立てますとともに、当該分野の基本的な事柄を全て収めてありますので、卒業後もその教科書で学んだことを誇りとし、一生手元に置きたいと思えるような内容のものです。 教養教育の充実に向けた取り組みもします。学一段と注目される一段と注目される大学をめざして大学をめざして東京理科大学東京理科大学学長学長  藤嶋 昭藤嶋 昭

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