理窓 2015年1月号
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321.はじめに1.はじめに 科学技術振興機構(JST)は現在、高大接続の一環として「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援プログラム」を行っている。このプログラムは、原則として高校のなかで課題研究を行う。また、上記を含めて次世代の科学技術を担う人材育成のためのプログラムが多岐に亘って実践され、本学もそのひとつである「女子中高生の理系進路選択支援プログラム(平成21、23、24年度JST)」に応募採択されて本学での呼称「科学のマドンナプロジェクト」として、中学・高校生を対象とする理系教育啓蒙活動の実績を積み上げてきた。 今回JSTの提唱するグローバルサイエンスキャンパス(GSC)プログラムは、理数系に興味を持つ高校生を大学に通学させて教育・研究指導を行い、その成果は海外の学会発表や論文発表に耐え得るものを目指している。本学は、その多彩な理数系教員のリソースを利用して、こうした高校生の多様なニーズに応じた教育・研究を行える環境にあり、また、本学がこれまでに輩出した多くの理数系教員の経験・知見を集約することにより、本プログラムを実践する体制が整っていると考えられる。 本年度は全国の8大学(北海道大学、東北大学、筑波大学、東京理科大学、慶応義塾大学、京都大学、岡山大学、九州大学)のプログラムが採択された。このうち、東北大学と京都大学は初年度募集定員150名、その他は70名である。2.意義と目的 本プログラムは、高度な理数力を現有する、あるいは潜在的に持つ高校生を対象に、自然科学の諸分野の研究に必要となる基本的な論理性、思考力、分析力、発想力、表現力、課題発見・解決力を育成して、現高校教育において時間的また人為的制約のために達成が困難とされる高度な理数系教育・研究を行うことを目的としている。したがって、生徒の教育研究指導は、大学での講義および大学研究室での個人指導が主となる点はこれまでのSSH支援プログラムと大きく異なる点である。また、成果の海外発表をもターゲットとしているため、英語での口頭発表力、聞き取り能力、読解力、文章力の向上やコミュニケーション能力も要求されるため、短期の海外研修も行う予定である。3.GSCの教育・研究課程 本プログラムの教育・研究課程のあらましを図1のチャートにまとめて示す。1年目は基礎コースとして55コマの授業を神楽坂地区で月2回程度日曜日に行う。このうち、前半の35コマを入門編として分野融合型の授業を数学、情報、物理、化学、生物について行い、後半の応用編では生徒の希望により専門分野の授業をそれぞれ20コマずつ分けて実施する。2年目は、発展コースとして選抜した生徒(20名を予定)の希望する課題テーマについて研究室での個別指導により研究を進める。発展コースでは指導教員の研究室での研究が主となるので、研究室の大学院生、学生、あるいは留学生とコミュニケーションをとりつつ研究を進めることになる。本プログラムが目標とするグローバル性を涵養するための方策としては、①幾つかの授業を英語で行う、②本学の学生の英語会話力の向上のために用意してある自己学習プログラム、TUS English Online(TEO)システムを利用する、③授業あるいは休み時間帯に、主として留学生とのfree-Talkingの時間帯を設けてコミュニケーション力の向上と、英会話力の向上を目指す、④発展コースの中の選抜された生徒を対象とするが、キール大学(ドイツ)と連携して短期(夏休み期間を想定)研修を行う。このとき、ドイツの高校生と共同して実験を行うことや、授業参加(勿論、英語での)を想定している。グローバルサイエンスキャンパス(GSC)プログラムについてグローバルサイエンスキャンパス(GSC)プログラムについてGSCサブコーディネータ 春山 修身(49理・物)図1 GSC 教育プログラムの概略

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