理窓2014年10月号
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14・10 理窓3510年越し 我々は飛べる集団へと生まれ変り、発足当時の目的を果たすため今年度の高速機体9号機「雨燕」を制作しました。設計コンセプトを「今のACMが勝ちいける機体」とし過去の大会での入賞タイムや技術的実現の可能性を考え目標を掲げ、アドバンテージを意識した上で戦略を構築しました。この高い視座によるゲシュタルトビューの確保が、1年間の最終地点を見据え続けるのに大きく貢献したことは言うまでもないことです。 1月~4月にかけて連日連夜行われる作業、休日ともなると作業場は朝から晩までフル活動を余儀なくされます。冷暖房設備に乏しい作業場で悴んだ手に気合いを投入しながら、身を粉にする想いで完成させた機体。完成と同時に湧いた“緊張”という感情が、差し迫った大一番へ道のりが見えた瞬間でもありました。 6月末、飛行場で可能な限りの調整を終えた頃には滑走路長の制限がチーム記録を伸ばせる制限になっていました。ACM始まって以来の快挙の連続に、祝してくれるOBの皆様に感謝しつつも、あくまで冷静に振る舞う現役からは目標を見失わず一喜一憂しない姿勢が窺えました。一日一日コンテスト足音が大きくなると同時に、沸々と士気が上がっていきました。ACMこれまでの歩み 2002年4月、Aircraft Makers(以下ACM)は当時の理工学部機械科数名の有志により、人力飛行機による鳥人間コンテスト出場及び記録更新を目的として発足した学生組織です。拠点を千葉県野田市にある野田キャンパスに置き、航空部が保有している格納庫をお借りして日々活動しています。 発足当時、活動場所さえままならない中で制作に取り組んだ1号機は、完成に漕ぎ着けるまでに3年を要しましたが、浮上に至ることはありませんでした。それ以来7機の実機製作を行い、鳥人間コンテストには2007年、2008年、2011年と出場機会を得るも参加賞止まりの結果しか残すことができなかったことを背景に、技術の抜本的な解決が求められた昨年度代は飛行機の原点に立ち返ることを年間の目標として決定し、鳥人間コンテストありきの年間スケジュールをやめ、1年間“飛ばす”ことだけに尽力しました。 昨年度の機体8号機「彩雲」は静岡県富士川市にある富士川飛行場において、2011年鳥人間コンテストで記録した42mを見事に凌駕する400m飛行に成功しました。初出場の交流飛行会で優勝するものの、浮上で歓喜の酒を交わした氷河期を超え、空を捉えた今のACMに400m飛行で笑顔が生まれることはありませんでした。鳥人間鳥人間コンテストコンテストにに参加参加して〈2〉して〈2〉東京理科大学理工学部東京理科大学理工学部--Aircraft MakersAircraft Makers平成26年度代表 平成26年度代表 佐々木 峻佐々木 峻

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