理窓2014年10月号
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18 遠足倶楽部の中で、「マダラボケ」という言葉が流行ったのは十数年以上も昔の話だと思う。遠足倶楽部というのは、無名山塾にいくつかあるプログラムの中の中高年バージョンで、日本百名山や熊野古道をめざす教室だ。1983年にスタートしたので、30年経った現在では年配の会員が多い。 「マダラボケ」を流行らせたのは、T会員、1928年生まれ。山道を歩くときの足取りの軽さといったらない。妖怪だ。 初夏に吾妻線沿線の王城山と岩櫃山に登った。JRの車内でも宿に入ってからも、話題はトシのこと、ボケのことで盛り上がる。王城山はどっしりした大きな山、岩櫃山は峨々たる岩山で下から見上げたときは、追い返されそうにとんがっていた。いざ取り付いてみるとクサリもしっかり取り付けられていて、不安なく登れて達成感を抱かせてくれる岩山であった。 この二日間、Uさんが奥さまと二人で参加して下さった。宿の朝食は栗の入った赤飯だった。「明日がぼくの誕生日なんですよ、前祝いですね」とうれしそうだった。お元気な後期高齢者である。一人でジリからベースキャンプまでエベレスト街道を歩いたり、5000mのトロンパスを越えるアンナプルナ山群周遊トレッキングをやってしまう。 「山の遠足」に参加されると、たいていの場合、男性では最高齢であることが多いのに、この日はUさんより年上のSさんが参加されていた。総勢七名のパーティであったが、ぼくとカメラマン、Uさんの奥さんを除くと、一番若いのがUさん。だからというわけではなく、もともとフットワークの軽いUさんなのだ。宿に入るとお茶を入れて、皆さんに配ってくれていた。そして再び、ボケの話。 「先日、さあ出かけようと思って立ち上がって、お財布をバッグに入れようと思ったらないんです」と、Tさん。テーブルの上、テレビの上、タンスの引き出し、心当たりをあちこち捜してもない。朝からの行動を振り返ってみようと思ったの、とおっしゃる。「Gさんが乾燥イモを送って下さって、留守にするときは冷蔵庫に入れておいてね、というメモがあったので、それを冷蔵庫に入れた。もしかしたらと思って冷蔵庫を開けたら、乾燥イモと一緒にお財布が冷やされてそこにあったんですよ」 皆さん、大笑い。 「岩崎さんと一緒に歩きはじめた頃はマダラボケだったけれど、今ではもうベッタラボケね」との言に、またまた大笑い。 ぼくのボケバナシとして、「タバスコかけた?」をご披露した。先日、近くの洋食屋さんにカミさんと昼飯を食べに入った。スパゲッティ・ミートソースを頼んだ。やトしたが多い。七名のパーティであUさんの奥さんを除くとだからというわけではなくクの軽いUさんなのだ。宿に入皆さんに配ってくれていた。そしトシのこと、ボケのことトシのこと、ボケのこと山は健康の源(19)山は健康の源(19)岩崎岩崎  元郎元郎

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