理窓2014年7月号
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3514・7 理窓東京都立蒲田高等学校教諭 大塚 千彰(平26理・数) 私が勤務する都立蒲田高等学校は、都内に5つあるエンカレッジスクールのうちの一つです。ここに通う生徒の多くは、小中学校時代に苦手だった勉強を、高校で学び直したいと思って入学しています。また、コミュニケーションが苦手で、いじめや不登校の経験を持つ生徒も多くいます。 このような生徒たちと向き合う日々は、失敗も多いですがとても充実しています。 数学の授業は、高等学校の学習内容に小・中学校の復習を織り交ぜながら、ゆっくりと進めています。基本的な問題を多く解き、わかる・できる経験を積み重ねることで、自信をつけられるように配慮しています。しかし、それだけでは授業は成り立ちません。勉強する習慣のない生徒、生活費のためのアルバイトや兄弟の世話等で勉強できる環境にない生徒もいるため、習熟度別のクラスの中にも、学力・学習意欲の格差が大きく、教材のレベルや授業の組立て方に苦心しています。また、私語や立ち歩きの多い生徒、精神状態が不安定な生徒、学習障害がある生徒等に対して、どう対応して勉強する雰囲気を作っていくかもまた重要となります。全ての生徒の「ためになる」授業とは何なのか、試行錯誤する日々が続いています。 そんな中、先日行われた体育祭では、生徒の新たな面を見ることができました。勉強が苦手な生徒が一生懸命に走る姿や、大縄跳びで優勝して喜ぶ姿を見て、生徒の持つ力を改めて感じました。彼らの潜在能力をどれだけ引き出すことができるかは、教師の手腕にかかっています。彼らの貴重な時間に関わる、教師という職業のやり甲斐と責任の重さを実感しました。 エンカレッジスクールという特色のある学校が最初の赴任校であることは少し不安でしたが、周りの先輩方に助言をいただきながら、何とかやってきました。今はやるべき仕事をこなすことに精一杯ですが、少しずつ今までの人生経験を生かした自分らしい関わり方を実践していきたいと思います。横浜市立秋葉中学校教諭 細田 賢司(平26理・数) 私は平成26年に東京理科大学理学部第二部数学科を卒業し、早くも二ヶ月が経ちました。自分の中学生の頃からの夢が叶い、横浜市の中学校教師になる事が出来ました。 私は横浜市の戸塚区にある秋葉中学校に赴任しました。4月7日の入学式、この間まで小学生だった、中学生の生徒達が緊張した表情で体育館に入りました。自分の担当学級の生徒達が目の前で座った瞬間、ようやく夢が叶ったと思い涙が出ました。そしてこれからこの生徒達を育てていくという強い責任感が芽生えました。 入学式が終わり、学級担任として学級の生徒達と初めて顔を合わせた時、そこには生徒達の笑顔がありました。緊張している中、生徒達の一人一人の顔を見ながら「先生は教師になって1年目です。だから、みんなと同じ気持ちで期待と不安でいっぱいです。それでも、先生はこのクラス34人の一人一人を本気で大切にしたい!みんなが毎日元気に学校に通えるように一生懸命頑張ります!」と話しました。この日から私の教師生活がスタートしました。自分が大学生の頃は本当に教師が勤まるのか不安な気持ちでいっぱいでした。しかし、実際に教師になってみると、毎日生徒達と関わったり、他の先輩教員達と関わったりすることで自分は誰かの役に立っていると感じる事ができ、今が大学生活の何百倍も充実しています。教師の仕事をして驚いたことは仕事の量の多さと休みの少なさです。まず仕事の量に関しましては学級、教科指導、部活動、校務分掌など多くの仕事があります。教師1年

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