理窓2014年7月号
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14・7 理窓27れた。山スカ(スカート)をはいた、山ガールの登場である。山ガールは若い男の子を巻き込み、マスコミを巻き込み、中高年登山ブームを眺めていただけで、山を敬遠していた中高年も引っ張りだした。登山適齢期は、いまや0歳から80歳までになった。山がらみのテレビ番組も多くなり、「年寄りの冷や水」なんて見る目は皆無。むしろ、結構なご趣味と目される。 山登りを始めるチャンス到来だ。ことで、背をむける若者が増加した。登山人口は減少した。登山人口の増加は、中高年登山ブーム到来まで待つことになる。 56年、地球上に14座しかない8,000m峰の一座マナスルが、槇有恒さん率いる日本隊によって初登頂された。当時、朝日新聞に連載されていた『氷壁』人気との相乗効果で、我が国は空前の登山ブームとなった。このとき30歳だった男性は仕事仕事で山登りを断念せざるをえなかった。20歳だった女性は結婚・出産・育児・家事で山から遠ざかる。30年後の86年、男性は定年退職で毎日が日曜日となり、女性は育児から解放されて自分の時間が持てるようになった。彼ら彼女らは若い頃やりたくてもできなかった山登りをやってみようと考えた。30年前は20歳代が中心メンバーだった登山が、中高年が中心メンバーとなる幕開けだった。 90年代にはいると、中高年登山者は数を増し、日本百名山の頂きめざして活動が活発になった。そんな下地ができていたから、95年夏、みなみらんぼうさんとぼくが出演したNHK教育テレビ番組「中高年のための登山学」が放送されるや、中高年登山は大ブームになった。キーワードは「健康」であると思う。登山と一口に言っても、岩登り・沢登り・雪山登山のように危険を伴う本格的な登山から、高尾山や六甲山のハイキングコースまで、いささか幅が広い。中高年登山者のほとんどがめざす登山は、本格的な登山ではなく、健康登山であった。登山適齢期は60歳代と目された時代と言えるだろう。 ブームというのは、10年も続けばいい方だろう。95年に大ブレークした中高年登山も2005年頃には熱も冷めて、山も少し静かになったように思われた。それが、10年前後から新しい潮流が現岩いわ崎さき元もと郎お  1945年3月、東京大井町に生まれる。東京理科大学中退。63年から69年まで昭和山岳会に在籍、登山の基本を学ぶ。 無名山塾主宰、日本登山インストラクターズ協会理事長。 ホームページ www.iwasaki-motoo.com問合せ先 撰事務所 〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-53-8 TEL 03(3942)0087  FAX 03(3942)0392※無名山塾及び遠足倶楽部 問合せ先 無名山塾 〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-39-2 フラット三栄1F TEL 03(3941)3481  FAX 03(3941)3482九州 坊ヶツル九州 坊ヶツル

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