理窓2014年4月号
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14・4 理窓35に向かっておられる間、急いでノートに書き写し、こちらを向かれると知らぬ顔をして、先生を見上げるという、アクロバティックな講義の受け方を余儀なくされた。後日、先生が勤務されている東大生産研でお目にかかったとき、その思い出を申しあげたところ、「そんなことを言いましたか。若気の至りですね」と笑われた。しかし、それが先生の確固とした信条であったことは疑いない。白井 俊明 先生(無機化学) 先生は、先のお二人とも全く違ったタイプで、ご専門の無機化合物について合成の苦心談を訥々と、室内を歩き回りながら話された。また、「こんな面白い性質があることを偶然見つけました」と目を輝かされた。通常の無機化学の講義なら、元素の周期律にしたがってその産出、性質、主な化合物と用途などを羅列的に述べる無味乾燥なものになり勝ちなのに、理研の研究室の現場に立っているような、生き生きした研究への情熱と魅力を感じたのは、私だけではなかった。 後に、三先生は、昭和10年に岩波書店から刊行された「理化学辞典」初版の執筆者であり、谷、白井の両先生は編集も担当されたことを知った。 在学中の動員先で毎夕、物理化学の輪講を指導され、触媒反応研究の面白さに眼を開かされた中川正澄技術中尉(後に阪大理学部教授・有機化学)、図書室で目にした統計力学的反応速度理論の著者である堀内寿郎北大教授が強く印象に残る。 中川先生には、阪大理学部に学位論文を提出した時、教授会で熱心な支持をいただいた。また堀内先生には札幌で開かれた討論会で、量子力学的速度論を発表した若輩の私を温かく励まされた。さらに渡米の受け入れ先に推薦を頂いたことも有難い思い出である。 進学の動機から大きく逸れた人生で、大学での研究・教育の途に進んだ私は、その時々に、広い視野と目標を与えて下さった諸先生に深く感謝している。そして、大学に勤務した日々に、若い人たちに、私が受けたような感動を与え得ただろうかと自省しきりである。(東工大、神奈川大、北京科技大 名誉教授。理博) 東京理科大学葛飾キャンパスの開設1周年および東京理科大学維持会から葛飾キャンパス図書館大ホールにピアノが寄贈された事を記念して、本学卒業生であり、音楽家として国内外で活躍中の鬼武みゆき氏(62理・数)によるコンサートが開催された。タイムテーブル 14:00 オープニングセレモニー 14:10 開演     80分構成 15:30 終演 16:00 レセプションパーティー☆鬼武みゆき(コンポーザー・アレンジャー・ピアニスト)1987年 東京理科大学理学部数学科卒2002年 Eternal Music Recordsを設立。5枚のオリジナルアルバムを発表。テレビ東京「命の時間の贈り物」の音楽担当。(挿入歌、オーケストレーション、アレンジャーとして活躍。) 2012年より インターネット配信「1 minute piece “Happiness is... (私の幸せ)”」は大きな話題を呼んでいる。共演者 赤木りえ(フルーティスト)、中西俊博(ヴァイオリニスト)、鳥越啓介(ベーシスト)、岩瀬立飛(ドラマー)葛飾キャンパス開設1周年 東京理科大学ピアノコンサート葛飾キャンパス開設1周年 東京理科大学ピアノコンサート―鬼武みゆき氏と4人の演奏家による共演――鬼武みゆき氏と4人の演奏家による共演―平成26年3月30日(日)14:00~17:00図書館大ホール♪♪♪♪♪♪♪♪

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