理窓2014年4月号
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14・4 理窓15絶好のエスケープルートになる。 登り返すと箸折峠で、牛馬童子像と役行者像が立っている。峠を越えると目の下に近露の里が広がる。爽やかな眺めだ。近露を抜け、野中まで歩いて宿を取る。翌日はひと歩きで小広峠、下って登ってを繰り返し、三越峠に立つ。下って赤木越えを右に分け、登り返せば発心門王子。ここまでは本宮からバスの便もあるし、タクシーも呼べる。水吞王子跡、伏拝王子跡を過ぎ、小辺路を分岐する三軒茶屋跡を通り過ぎれば祓戸王子跡、旅のほこりを払えば、熊野本宮大社は目の前だ。速やかに家路につけば、この日の内に東京に戻ることはできるが、熊野まで出かけてきたのだからもう一泊。翌日、熊野川を新宮に下り、速玉大社に詣でてからの帰京をお勧めする。てみて、熊野古道の魅力が分かったような気がした。気を感じるのである。大日越えに自信を持ち、中辺路のプランを作り上げた。 窪津から続く古道は、ほとんどアスファルト舗装された車道に作り替えられていて、滝尻までは車道歩きに終始する。さすがに窪津から歩いてみようという気にはなれなかったが、初めての中辺路だから南部から歩いてみようと思い立った。田辺駅近くにビジネスホテルをキープし、二日間費やして南部から滝尻まで車道の脇を歩いてみた。南方熊楠の墓の寄り道など、甲斐がないではなかったが、車道歩きは山好きにはNGであることを確認できたのが、最大の収穫であった。車道をトレッキングシューズで歩いたので、足裏に大きなマメを作るというオマケまで貰ってしまった。 今日のスタートは滝尻、と思うとホッとした気分になる。歩き始めるとすぐ山道の登りだ。我が家に戻ったような、居心地の良さを感じる。歩幅を小さく一歩一歩、ゆっくり足を踏みしめて行く。すぐに胎内くぐりとその上に乳岩がある。登りきると高原の集落に入り、高原熊野神社に着く。旧旅籠が立ち並ぶ通りを抜けると、再び山道に入る。いくつかの王子跡を過ぎ、逢坂峠を下ると牛馬童子像バス停。売店もあり、トイレもあり、岩いわ崎さき元もと郎お  1945年3月、東京大井町に生まれる。東京理科大学中退。63年から69年まで昭和山岳会に在籍、登山の基本を学ぶ。 無名山塾主宰、日本登山インストラクターズ協会理事長。 ホームページ www.iwasaki-motoo.com問合せ先 撰事務所 〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-53-8 TEL 03(3942)0087  FAX 03(3942)0392※無名山塾及び遠足倶楽部 問合せ先 無名山塾 〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-39-2 フラット三栄1F TEL 03(3941)3481  FAX 03(3941)3482

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