理事長退任にあたって “世界の理科大”の実現に向けて、 変わらぬご支援を

3月末日をもって、任期満了となり理事長の職を退任いたしました。2期にわたり在任し、大過なくその任を果たせましたのも、先生方、事務職員の方々はもとより、理窓会会長をはじめとし全国の理窓会の皆さまに応援していだだいたお陰と、心から御礼申し上げます。

私が大学に入学したのは、理工学部が開設された翌年の1968年のことでした。当時の野田キャンパスは、広大な敷地に幾つかの建物が点在するのみで、必ずしも十分なキャンパス環境が整っていたとは言えませんでしたが、情熱をもった先生方に囲まれ、講義、実験、実習、卒業研究と充実した日々を過ごしたことが思い出されます。
卒業後、アサヒビール株式会社での勤務を経て、2015年に理事長をお引き受けしましたのも、私の人生に多くのものを与えてくれた母校の先生方、研究室の仲間に恩返しがしたいと思ったからです。

理事長就任当時、本学の財務状況は急速に悪化しており、帰属収支もマイナスに落ち込んでいる状態でした。私としては、財務基盤の安定化が、本学の教育・研究力を一層向上させ、将来に向かって本学が発展するための必要条件であり、取り組むべき課題であると当然考えるようになりました。

私立大学は国立大学と異なり、篤志家などによる資金の拠出によって法人ができ学校が運営されています。それらは企業が株主の出資によって形成されることとも異なるものです。したがって私立大学における発展は、自らの努力によってのみ成し遂げられるものなのです。換言しますと、私立大学は独立した経営体であることから独立採算が原則であり、財務の安定化は、将来の発展と継続性を維持するため当たり前のように、事務職員とともに取り組まねばならない課題なのです。

これまで優れた特定の研究への投資や給付型奨学金の新設等、教育・研究に係る新たな支援を実施してきました。このような支援の実施こそが、大学発展に寄与するものであり、理事会が目的とするものです。財務の安定化はこれらの支援を実施するための手段にすぎず、目的ではないのです。今期の理事会で、将来に向けての基盤ができたというふうにご理解ください。

2017年に、中長期ビジョンである“TUS vision150”を策定することで長期の目標を明確にしました。そして長期目標に基づいて短期の計画を積み上げる体制を構築するとともに、学部・学科再編、キャンパス整備等、ソフト・ハード両面にわたる改革を通じ、将来の本学発展への一定の目途がついたと考えています。
次期理事会においても“世界の理科大”の実現に向けて、創立150周年、そしてその先の未来にわたって、益々の充実・発展を目指し努力していかれるものと確信しております。

理事長在任中、理窓会の先輩の皆様とお会いできる機会が多くありましたが、大学に誇りを持ち“名こそ惜しけれ”を地で行く理窓会の先輩方にお会いすると、母校の発展の姿をことのほか喜んでいただき、しばし温かみのあるお話しをお聴きし私は涙が出るほどうれしかったのを思い出します。これからも理窓会は従来同様、原則論、形式主義の議論はなくし、東京理科大学の発展、理窓会の充実に向け取り組みをお願いします。

21万人を超える理窓会員の皆様の母校への誇りが、次の世代の若手OB組織形成につながると思いますし、母校発展の起爆剤となるものです。

最後に、浜本新理事長、新理事会に対しても、変わらぬご支援をお願いするとともに、在任中のご指導、ご支援に心より感謝申しあげ、退任の挨拶とさせていただきます。

 

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