東京理科大学薬学部 薬用植物園 五感を駆使した生きた教材

羽田紀康 薬学科教授

薬用植物園
羽田紀康園長挨拶
五感を駆使した生きた教材
本学薬学部薬用植物園は、野田キャンパス薬学部敷地の南に隣接しており、日本薬局方収載生薬の基原植物をはじめ、約900種の植物を展示植栽しています。園内は標本園、林地帯、温室に別れており、春にはハクモクレン、ボタン、シャクヤク、アケビ、夏にはキキョウ、クチナシ、チョウセンアサガオ、秋には、オケラ、ミシマサイコ、ウコンなど、漢方薬の構成生薬や民間薬その他医薬品原料となる基原植物を見ることができます。本植物園は、1年生の薬用植物学および2年生の医薬資源学実習で使用するなど生きた教材として教育で活躍するとともに、研究材料としても活躍しています。また、学内の利用にとどまらず、高校生への植物園紹介、市民に対する観察会、漢方薬生薬認定薬剤師の実地研修の場としても活用しております。植物は薬用、食用、染料、繊維など人類にとって貴重な財産であり、我々は実用として多大な恩恵を受けています。教育、研究の現場ではこの生きた教材から「自然より学ぶ」ことの大切さを受け止めて生涯にわたって活用していきたいものです。

特徴
1.陽地性植物見本区は比較的小さな区画に区切っており、3m×2mの小区画の見本区が88個並んでおり、区画を細かく分けることにより、より多くの人が来ても区画を取り囲んで植物のそばで説明を聞けるように工夫されている。
2.花のない時期でもイメージがわきやすいように花の解剖図が描かれた案内板がいくつか設置されている。
3.その時々の局方に合わせ、随時、簡易の説明書きを手作りで設置し、特に薬用に関する知識を深められるようにしている。

教育と研究
教育において、生薬学、天然物化学研究室配属の学生は、随時、薬草園にて植物を観察し、薬用植物として重要なもの(市場でよく使用される生薬の基原植物)に関しては他人に説明できるように指導しています。
特に修士学生にはTAとして1年生の薬用植物学講義内での植物観察会において説明を課しており、担当教員の補助として低学年の教育に参加しています。これは担当大学院生にとっても生涯の財産となると考えています。
一方、研究において羽田は、薬用植物の季節変動に伴う成分変化に興味を持っており、どのような成分が季節によって変動し、それがどのように薬効に影響を及ぼすかを研究しています。また、漢方薬・生薬認定薬剤師の実地研修の場としても使用されており、薬剤師の生涯学習の場として提供されています。薬用植物を学ぶにはその植物が持つ香り、味、においなど五感を駆使した体験が重要な意味を持ち、これは直接の観察でしか体験できないと考えています。

 

 

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