本学の学是、カリブの島に花開く― 秋山仁特任副学長がコロンブス騎士勲章を受章 ―

授与式 ロベルト・タカタ大使から

ドミニカ共和国政府はクリストファー・コロンブス騎士勲章を秋山仁特任副学長に授与しました。2021年6月24日、東京都港区ラテンアメリカ・サロンにおいて授与式が行われ、ロベルト・タカタ ドミニカ共和国大使から秋山教授の胸に勲章が着けられました。
コロンブスは1492年にドミニカ共和国のサント・ドミンゴに上陸しました。コロンブス勲章は、アメリカ大陸を発見したコロンブスの偉業を讃えて、ドミニカ共和国政府が1937年に制定した勲章です。以来、この勲章は学問や芸術などで国際的に多大な貢献を行なった者に授与されています。秋山教授に対する叙勲の理由は「数学・科学分野における価値の高い優れた研究業績と、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中南米(特にドミニカ共和国)に於ける惜しみない教育・啓発活動により人類に多大な貢献を果たした功績を認め同勲章を授与する」とドミニカ共和国大使館発出のプレス・リリースに書かれています。同勲章を日本人が受賞するのは初めてです。秋山教授はグラフ理論や離散幾何学の研究のグローバル・リーダーですが、教育・啓発活動にも極めて熱心で、今までに世界数十の都市で数学の有用性と面白さを伝える数学伝道活動を展開しています。
昨今、ドミニカ共和国においては、理数教育に重点を置いた人材育成を目指しています。2016年に牧内博幸特命全権大使からの要請を受け、秋山教授は同国で数学教育支援プロジェクトを開始しました。2017、18年に秋山教授は同国を訪れ、ドミニカ各地で教員研修や講演会、ワークショップなどを行うとともに多数のテキストや教具・教材を作成しました。また、ハンズ・オンスタイルの数学体験館を2020年12月に首府サント・ドミンゴに建設しました。

数学体験館開館式2020年12月14日 牧内大使とアビデナル大統領

授与式には、日本ドミニカ友好議員連盟会長遠藤利明代議士、渡辺博道代議士、外務省中南米カリブ課長正本謙一氏など、数多くの方々から祝辞が寄せられました。誌面の関係で、ドミニカ共和国のお2人の言葉を紹介しましょう。

ラファエル・サンチェス・カルデナス高等教育・科学技術省次官(当時の肩書き)
『数学教育の面で課題を抱えたドミニカ共和国では、秋山教授の教授法は教師や学生にとって、数学に取り組むためのまさに革新的な方法であり、素晴らしい機会となりました。楽しく、喜びを持って数学を教え、生徒たちが自発的かつ意欲的に学ぶことが秋山方式の神髄です。独創的に、また巧みにデザインされた教具を駆使することによって、抽象性の高い数学的理論をより具体的にイメージさせ、それによって教室を楽しい遊び場のように変えてしまうのは驚きでした。』

ドミニカ共和国での子供向け講演 2017年11月29日

アンドレス・ナバロ教育相、外相(当時の肩書き)
『秋山教授は我が国の幾つもの地方都市へ赴かれ、数多くの大学で最先端の研究成果を学生たちに講義し、また、小・中学校では、算数・数学の面白さをマジックやゲームなどを使って伝えました。どの講演でも、秋山教授は論理的思考の大切さを実感させてくれました。新たな時代に必須とされている基本的能力の一つ“論理的思考力”を育むために数学教育は極めて重要であり、秋山教授と日本国政府の協力による教育支援は我が国にとって非常に意義深いものです。秋山教授への叙勲を以て我が国は、氏の学術・教育による人類への貢献を高く評価すると共に我が国の教育制度への実質的貢献に感謝の意を表します』
秋山教授からは謝辞の中で、「私は子どもの頃から森羅万象の中の不思議に興味を抱き、その不思議を解明することに夢中になってきました。また、人の思惑に左右されることなく厳然と成り立つ数理の世界に惹かれ、その魅力を広く伝える取り組みを続けてきました。また、母校・東京理科大学に在学していた頃、『理学の普及を以って国運発展の基礎とする』という本学の学是を知ったことも、私の数学伝道活動に拍車をかけたように思います。この活動を続けてこられたのは、日本、ドミニカ共和国両政府、両国大使、大使館員、JICAおよび本学の皆さんなどのたくさんの方々の協力があったからこそであります。その出会いに感謝するとともに、勲章の名に恥じないようこれからも微力ではありますが精一杯頑張っていきたいと思います。」と感謝と新たな決意が語られました。本学の学是がカリブの島で種を落とし、遂に花開いたとも言えます。今回の秋山教授のコロンブス勲章受章を機に、理学の普及を通じて、日本、特に本学と国際社会との今後益々の連携協力の増進が大いに期待されます。

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