巨大ウイルスを通して、「生命とは何か」を考究する

研究室のあらまし
教養教育研究院・神楽坂キャンパス教養部に所属しています。2014年頃からまだ日本では行われていなかった巨大ウイルス研究をスタートさせ、2016年、東アジア初の巨大ウイルス「トーキョーウイルス」を発見し、日本の巨大ウイルス研究の礎を築きました。現在では巨大ウイルスを通じて「生命とは何か」を考究することを目指すと共に、生物教育の一環としてのウイルス教育のあり方も考究しています。

研究テーマ
1.メドゥーサウイルスの研究
巨大ウイルスは、真核生物の起源と進化に大きくかかわってきた存在であると考えられています。我々は2019年、北海道の温泉水から新たな巨大ウイルス「メドゥーサウイルス」を発見しました。メドゥーサウイルスは、ヒストン遺伝子、サイクリン遺伝子など、真核生物によく似た多くの遺伝子をもつ、極めて興味深い巨大ウイルスです。メドゥーサウイルスは、それまでの巨大ウイルスとは異なり、宿主の細胞核の中にDNAを入れ込み、そこで複製することが知られています。現在当研究室では、こうしたメドゥーサウイルスの複製のありようとヒストンなど真核生物によく似た遺伝子を彼らがコードしている生物学的意義、そして私たち真核生物進化との関係の解明に向けて、日々研究活動を行っています。メドゥーサウイルスの発見は世界的にも注目され、科学誌『ネイチャー』でも研究ハイライトとして紹介されました。

2.その他の巨大ウイルスの研究
当研究室では、入室した卒研生や院生に、各自好きな場所からサンプリングし、新しい巨大ウイルスを見つけるという基礎実験を課しています。多くの学生が、それまでとは塩基配列がやや異なる新しい種類のウイルスを見つけています。日本もまた、多様な巨大ウイルスの生息地であることが明らかになりつつあり、現在当研究室では、まったく新しい巨大ウイルスの発見に向けて、日々探索実験を行っています。

3.巨大ウイルスと宿主の相互作用の研究
これまで発見されている巨大ウイルスの多くは、アカントアメーバと呼ばれる単細胞の原生生物に感染します。したがって巨大ウイルスの研究には、その宿主であるアカントアメーバに関する研究も不可欠です。 当研究室では2020年、巨大ウイルスに感染したアカントアメーバがどのような挙動を示すかを追跡できる特別なプログラムを開発しました。これを使って、様々な巨大ウイルス感染アカントアメーバの行動的特徴を、タイムラプス映像から明らかにする研究を行っています。

研究室メンバー
教授 武村 政春
大学院理学研究科修士課程1年 細川 奈央
大学院理学研究科修士課程1年 増田 りさ
大学院理学研究科修士課程1年 山本 果奈
理工学部応用生物科学科4年 森野 健太
客員研究員(公立諏 訪東京理科大学)深谷 将

 

卒業生コメント
青木 啓太 株式会社グレープストーン(理学研究科 科学教育専攻 2020)
武村研究室では巨大ウイルスの多様性に関する研究に携わりました。国内外の学会での発表機会や論文執筆の機会を与えて頂き、貴重な経験を沢山積ませて頂きました。修士研究と現在の仕事内容は直結していませんが、物事や現象に興味を見出し本質を追求することや、目上の方の前で物怖じせずに自分の考えを伝えることなど、様々な事が仕事に生かされています。

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