グローバルチームで働く「グローバル≒ローカル」

略歴
東京理科大学理工学部応用生物科学科卒業。2000年株式会社リコーに入社。2019年より英国リコーヨーロッパに駐在、2022年に帰任し、現職。

1.皆さん、はじめまして。
2000年に理工学部応用生物科学科を卒業した遠藤です。今回、卒業生がどんな仕事をしているのか、グローバルのチームで働くとはどんな感じなのかを共有させていただこうと思います。今、進路に迷っている方、グローバルっていうけど具体的にイメージがわかないという方にとって考える一助となってくれれば幸いです。

2.就職と最初の一歩
私が就職活動をした2000年は就職氷河期の中でも「超氷河期」と言われる時期で、決して売り手市場ではありませんでした。また、私は当時、環境問題と経営を同軸で実施すべきという考えのもと就職先を探していたので、全く時代に受け入れられず厳しい就職活動となりました。結果、環境経営で有名なリコーにシステムエンジニアとして就職することになりました。当然、環境問題に無関係の部署で、システム開発に従事するわけですが「なんかしっくりこない。自分が10年後もこの仕事をしているところが想像できない」と思いながら過ごしました。その後、希望して商品企画、事業戦略立案に携わり、「しっくりくる」仕事に移っていきました。

3.にわかグローバル
2010年に社内で大きな組織変更があり、それまでの日本市場を担当する部門がグローバル本部に統合され、にわかグローバルになりました。顔も見たこともない米州、欧州の人たちと電話会議を通じて仕事をする日々。言語のハードル以上に目的意識、利害、一体感の欠如などのハードルに悩みながらの仕事となりました。私自身幼少期にアメリカにいたので、英語は話せましたし、アメリカ出張も多かったので、この頃は現地に行く機会があるならアメリカかなーと思っていました。

4.チケットはイギリス行き
ところが、2018年に出張で訪問した欧州で、思わぬことが起きました。欧州を統括する現地人社長との打ち合わせの場で、「ぜひ欧州に来て一緒に働いてほしい」といきなり言われることに。翌年夏には夫、子供を連れ、イギリスに駐在していました。ちょうどこの時期関わっていた買収案件がドイツ本社の会社で、イギリスから買収後統合も含めた仕事をやることになりました。

5.グローバルはローカルから
新しい環境で、人間関係を作り、信頼関係を作り、日々コツコツと仕事をしていくうちに、グローバルのチームで働く上でも、結局大事なのは人と人とのつながり、信頼関係だと気付かされることになりました。問題に直面した際、表面の事象ではなく根っこの課題を確認し、解決策を一緒に考え、実行してはフィードバックループを回していくという作業を一緒にやっていくことでお互いの思考力、物事へのアプローチ、価値観を確認し、信頼関係が作られていきます。その信頼関係というネットワークに支えられてグローバルチームが初めて円滑に運営できるのです。生まれも、育ちも、住む国も、好きな食べ物も、好きなお酒もちがうメンバーがチームとして結束し、コロナやそれに続く多くの課題を一緒に乗り越える原動力を生み出しました。グローバルといえども、まずは目の前のローカルの人に目を向けてこそだと駐在経験を通じて強く感じました。

6.現役の学生の皆さんへ
さて皆さんは現在どんなことが気がかりでしょうか?VUCAな時代を生き抜く絶対的な能力の獲得でしょうか? 自分が将来やりたいこと、なりたいものを決めかねて困っているでしょうか? 就職先が選べず迷っているでしょうか?
私自身、今振り返ってみると学生の頃私がやりたいと思っていたことは、私が得意なこと、私が輝くことではなかったようです。また、当時は母になってから海外に駐在する機会に恵まれるなど思いもしませんでした。特に女性は、結婚、出産を経て可能性が狭まっていくと感じていましたから。さらに、自分の転機が新たに出会った人によって導かれていくなど思いもしませんでした。最終的にどの局面でも大事だったのは「しっくりくる・こない」という感覚でした。皆さんも、いろいろ動いてみて、悩み、でも最後は必ず自分の感覚を信じて、「一歩ずつ」進んでいってください。どういう展開になるかわからないなんて、楽しいじゃないですか!

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