理窓 2016年7月号
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16・7 理窓412~3名となる、その時に演習止めの号令が出る。このようなことが何回も続いた。そしてある時、私ももう息が切れて駄目だと思った時に演習止めの号令が出た。この時私が駄目だと思った時には軽装の教官も同じく精一杯であったのだと気付きました。そこで私は人のすることは自分でもやれないことはないということに体験を通じて知ることができ、このことが戦後あらゆる面で役立つこととなりました。沖縄・石垣島で終戦を迎え、その戦後処理までして翌年に高知に帰還しました。3 県庁生活3 県庁生活 次に私の県庁生活30年余りの間のつたない経験ですが、参考になればと考え述べてみたいと思います。特に感じたことは、事務系の仕事の中で役立つことは数学的な面での強さ、理詰めの追求などが大変重要であり、法律を主体にした事務系に無いものが日常から養われている理工系の方が有利であると思います。現在の役所ではこのことが極めて重要であり重宝なことです。理科大の公務員上級職の多数の進出は誠に喜ばしいことであり、きっと幹部職員が多数輩出されるものと期待している一人であります。国家・地方公務員は職場が変わることが多く、その都度出世していくのが通例であります。私は自分の職場にいる間に何か一つだけ印象に残る足跡を残すことが大切であると考え確実に実行しようと努めました。 例えば、県の専用車16台が中古の外車でしたが、値段が高く(昭和34年頃1台300万円程度)、ガソリンの消費がもの凄く、故障の時は部品は東京から取り寄せねばならないし直ちに間に合わないなどの問題点がありました。これの解決策として国産車に変えれば値段が安く(約105万円)、ガソリンの消費も少なく、部品も直ぐに入るし、新車だから故障もない利点ばかりで国産愛用にもつながるので、全面的に国産車に切り替えるべく知事に具申したところ賛同を得て実現しました。ちょうど佐藤栄作通産大臣(後の総理大臣)から国産車愛用第1号県としてお褒めの言葉をいただきました。 また、畜産課時代のことですが、土佐の赤牛は農耕用で有名でしたが、機械化により食肉用に転換しなければならなくなりました。黒毛牛(松坂牛等)の食用牛は脂肪(サシ)が多いが赤牛はサシが少ないので改良に取り組んでおりました。優秀な種牛は非常に価格が高く(昭和47年頃3千万円以上)、県としても予算上なかなか購入が難しかったが、何とか改良したいといろいろと研究しました。当時は精液は生もので1週間程度しか寿命がなく液量も少ない。研究を重ねたところ、凍結精液貯蔵法があるということで、この方法は-274℃の液体窒素容器に精液を仮眠させて貯蔵する方式で精液を希釈してゼラチンに溶かして保存し、50~100年間命がある極めて画期的なシステムで、優秀で高価な種牛を購入しても長期的に見れば安いものです。これを採用して実施したところ、サシが改良され、黒毛牛に劣らない土佐赤牛が誕生し、最近では大変好評で大きく販売先が伸び脚光を浴びるようになりました。4 写真が趣味4 写真が趣味 県庁の勤めを終えて63歳がスタートの趣味は写真。県展はもちろん、全日写連や光展等に幅広く出展し重要なお世話役も果たしてきました。今年は年男を迎えたことを記念し、高知市文化プラザの写真展「土佐」に約30年間撮りためた中から35点を出展し、高知新聞に「高知の宝!!岩川さん!まだまだ現役中です」と紹介されました。明るく豪快に土佐のイゴッソウらしく、これからも写真を楽しみ、会合にも積極的に出ていきたい。 結びに、東京理科大学のますますの発展を祈念いたします。

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